昔の話。
父に連れられて、生まれてからそのまま病院に入院していた妹に会いに行った。弟とわたしは、これが妹と初の対面。
しかし妹は新生児室の中で、そこに一般人は入れない。ドラマのような外から覗ける窓もなかった。
これは新しい家族との顔合わせは先になるようだと諦めかけたとき、看護師さんが父に言う。
「抱っこしてなら、見せてもいいですよ」
看護師さんが妹を抱いて、我々のところまで連れてきてくれるということだろう。我々が新生児室に入れないなら、逆にあちらからお出ましいただこうというわけだ。
それを聞いた父が笑顔になる。そうですか。では。
と。
傍らにいた弟を抱き上げ新生児室に入ろうと。
お父さん。それ違う。絶対違う。
案の定かなり慌てた看護師さんに止められていた。
妹が大きくなったら、「あなたの誕生にこんなにどぎまぎしていたお父さん」という「ちょっといい話」として教えてあげようと胸にしまっていたのだが、よくよく観察してみると父は一事が万事こんな感じだったので、話しそびれた。
取っておいた20年間が惜しいので、ここに記録しておく。
追伸
いつもこの日記を読んでくださっている皆様、本日のNGワードは「遺伝」です。
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