ゲーム機の電源を入れる。暗い画面に向かってコントローラーを構えて待つ。この間には、今から冒険を戦いを探索を作戦を友情を裏切りを恋を征服を始めるのだという高揚と緊張が満ちている。出番前の役者の気持ち、あるいは試合に臨むスポーツ選手の気持ち。
機械のかすかな作動音。回転する円盤の音。円盤には架空の世界が閉じ込められていて、機械の力で液晶を媒体に立ち上がる。科学技術は魔術のようだ。
待つ。世界が始まる再開する召喚される瞬間を。暗黒の液晶画面を見つめながら。
待つ。人造の世界に生き始める時を。
待つ。
待つ。
……いくらなんでも遅すぎはしないだろうか。
テレビの電源、入れ忘れてた。
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