日本茶をいれる時は何となく波立たぬ澄んだ水面を見つめているような気分になる。茶葉を急須に入れ、ポットからお湯を注ぎ、しばし待つ。その間、心はしんと静かである。自分のために日常的にいれるお茶でも同じこと。湯飲み茶碗につぐ音に遠いせせらぎを聞く。ことほどさようにお茶を淹れることは神聖である。
そのような心持ちで淹れたお茶を一口飲む。
……薄い。いくらなんでも薄すぎる。
不審に思い急須の中を確かめたら、お茶の葉を入れ忘れていた。
ちなみに我が家の急須はガラス製で、蓋を閉めても中が見えるのが特徴である。
無我の極み、といったところであろう。
PR