肌からじわじわと寒さが染みてくるような夜の散歩道、懐中電灯の光の先に、奇妙なものが落ちていた。
あれは、アジの開き?
鍋やシャンプーの空き容器、果ては消火器までひととおりの物が落ちているのはみたことがあるが、アジの開きのようなまだ使えそうな食べられそうな物は初めてだ。お魚くわえたどら猫の仕業だろうか。せっかくの獲物を置いたままその猫はどこへ行ったのか。よほどの急用だったのだろうか。
猫の急用とは何だろう、と色々想像しながら近寄ってみる。
アジの開きではなく、枯れ葉だった。
すっかり暮れた空を見上げれば、水気を失った葉ずれの音とその奥に秋の星座。
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