休憩が終わって自室から出る。これから少々の労働だ。
景気づけに音楽を聞こうとイヤホンを耳に当てるが、何も聞こえない。
このイヤホンはまだ水に落としてもいないし洗ってもいない。以前それで壊してしまったことがあるのだ。
耳をさわると、確かにイヤホンが入っているのがわかる。過去に聞こえないと騒いだとき、耳に装着されていなかったことがあるのだ。
イヤホンのコードをたぐっても断線している様子はない。かつて突然音が鳴らなくなったときはコードが切れていたのだ。
そうなると、イヤホンの見えない部分が壊れてしまったか、最悪、携帯オーディオプレイヤーに故障が生じた可能性がある。
そうでないことを祈りつつ、プレイヤーの入っているポケットに手を入れ
手をいれ。
手、を。
あれ?
プレイヤー、部屋に置きっぱなしだった。
耳からだらりと垂れて揺れる主なきイヤホン。
このゆらぎに侘び寂びやもののあはれをわたしは学ぶ。もっと他に学ぶべきことはありそうだが。
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