夏が突然飽きてくるりと背中をむけたように、ある日を境に涼しくなった。
見上げれば、薄いベールに覆われていたはずの空は、その底まで見通せそうに澄んでいる。
動けばまだ暑いので服は半袖のままだが、ふとぼんやりすると腕のあたりにふわりと秋の空気がまとわりつく。薄手のカーディガンの温かさに季節がかわったことを実感したりする。
それはさておき。
半袖のシャツを前後逆に着ていたことに気づいた。
恥ずかしながらよくあることだ。腕だけ抜いて胴の部分でシャツを半回転。スマートではないが、これで簡単にシャツの向きは正しくなる。
最後に腕を通してできあがり、と。
……誤算だった。
今日はシャツだけではなくて、カーディガンも着ていたことを忘れていた。
シャツは前後正しくなったが、カーディガンのあわせ部分が背中に回ってしまった。シャツが後ろ前であるよりはるかに目立つ。おかしい。かくし芸をしようとしている人みたいになっている。
カーディガンを脱いで着なおそうとしたが、ボタンが後ろ側ではうまく脱げない。結局最初と同じ方法でシャツごと回し、カーディガンを脱いでシャツを直してカーディガンを着た。
涼しいのは結構だが、厚着とはなかなかに手間のかかるものだ。
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