窓枠に囲われた東の空が薄い青から白へのグラデーションに染まるころ、一人夕食を食べる。
静かな部屋で粛々と箸を動かす。体は疲れている。眠くはないが、感覚が鈍っているのだろう。自分の挙動も料理の味も夢の中のようにぼんやりしている。
特に視覚に疲労を感じる。いつもなら自然に行っているはずの「見る」ことに、いちいち神経を使っているのが意識される。
箸をのばす場所を決めることが、料理の色を知覚することが、どんどん難しくなってくる。
疲れというものは、何て基本的な感覚を蝕むのか。視界は急速に閉ざされる。
ああ。いよいよ何も見えなくなりそうな。
……日暮れたのに、電気をつけ忘れていた。
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