自慢ではないがわたしくらい間違いや物忘れが頻繁だと、周りの人が何かと気をつかってくれるようになる。義母は割ってほしくない食器は決して他の洗い物 と一緒には置かないし、連れあいは何か特別な予定が入ったときにわたしに伝え、その予定の3日前に確認し、さらに前日にもう一度教えてくれる。ありがたい ことだ。
ところで。
今日、犬の散歩を終えた後のこと。
犬は餌を待ちかねて尻尾を振る。いつもどおりドライフードに少しの犬用缶詰を混ぜて餌皿に。これを犬小屋にいれると「食べてよし」の合図だ。空腹らしい犬はもう小屋に入って準備万端。
この皿を小屋にいれるときに、犬をつないでいる鎖に食器をよくぶつけてしまう。勢いよくあてて中身をこぼすこともある。鎖に引っかかって皿が置けないの で、一旦皿を外に出して、その後落ち着いて鎖をよけつつ置きなおすのが毎日のことだ。毎日のことだから最初から丁寧にゆっくりといれればいいのだが、それ ができないのが愚者の愚者たる所以だ。
本日も鎖のことなどすっかり忘れ小屋の中を見もせずに餌を。
その刹那、するりと犬が小屋を出た。中の障害物がなくなり、皿は難なく所定の位置に収まる。それを見届けて犬は再び小屋に戻り、悠々と食事にかかった。
ついに。
ついに犬に気をつかわれるまでに……!
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