レバーを力をこめて引くと、エンジンが目を覚ました。戦いの予感に咆哮する赤と銀のツートンカラー。
俺はベルトを左肩から腰に回す。心地よい振動。オーケー、今日も好調だ。
手綱ともいえるハンドルを両手で握り、息を吸った。
頼むぜ、相棒。
手元の突起をひねる。レッドとシルバー、夕日の色をした獣が銀の牙をむいた。
俺は相棒の鼻先で奴らを薙ぎ払う。
細くてひょろひょろとした連中は簡単に飛び散っていく。
フリンジをはためかせるタフな奴らも黄色い帽子の女たちも無個性な細長い奴らも、俺にとってはただ狩の対象に過ぎない。感傷もない。感情もない。ただその頭を斬り落とすだけ。
この仕事を始めてどれくらいになるだろう。半年か。1年か。どれだけの奴の首を切ったろう。100から先は覚えていない。
奴らは逃げない。立ちふさがるだけ。俺の答えは進むことだけ。
相棒が唸り、吼え、薙ぎ払う。
ときおり光るマズルフラッシュ。
やがて、俺の周りに立っている奴はいなくなる。奴らの体液のにおい。体にはかつて生きていたもののかけらが無数についている。
俺は汗をぬぐった。息を吐く。大きく。
そこへ、遠くから依頼主が叫んだ。
「おーい。こっちも刈ってけれ」
わたしは軽く手を振って、赤いタンクに銀の棒と円盤型の刃がついた草刈機を持ち上げた。
草刈りは意外と大変だ。
田植えの終わった田んぼは、空色黒金うすみどり。田舎の仕事は、まだ続く。
17:10追記
草刈機というのはこういうの→
楽天市場のショップ。
あと、草刈機の刃が石などに当たると火花が散りますが、それをマズルフラッシュとは言いません。
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