太陽系が透けそうな青空からきりりと冷えた風が降りてくる。秋である。食欲の秋である。栗が芋が南瓜が美味い。何より米が美味い。
真珠の輝きに極楽の湯気。新米、白い飯のおいしい季節である。
そんな季節なればこそ、しみじみと炊飯器を見る。
しげしげと炊飯器を見る。1Hと書いてある。一時間。そう、たった一時間でご飯が炊ける。
一時間、人がそばについていなくても自動で炊いてくれる。炊飯器は調理担当者を炎から開放した。火の危険から解き放った。自分のようなうっかり者が毎日直火で飯を炊いていたら、遠からず本州は焦土となっていたであろう。炊飯器があればこそ、家は家のままそこに在り、緑は緑のまますくすく育っている。
長時間の停電があったとき、鍋とガスで米を炊いたことがあった。時間を見つつこわごわと。出来上がった飯はそれなりの味だったが、必ず美味しく仕上げてくれる炊飯器のありがたみを実感した。
1h。一時間。放っておけば美味しく美しくご飯が炊ける。
まじまじと炊飯器を見る。
よく考えれば、必ずしも一時間かかるわけではない。むしろもう少し短い。それなのになぜ1Hと炊飯器には書いてあるのか。
改めて炊飯器を見る。
ああ、これ「1H」ではない。
「
IH」だ。
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