夕涼みがてら庭をぶらぶらと散歩する。時は黄昏。森も山も家も影絵になる。樹上のセミに替わって秋の虫が草の間で鳴く。歩くと空気がひんやりとした風になる。
網戸をとおして見る部屋の中は一足先に夜になっている。ぼやけた暗さ。このくらいの時間だと、窓辺に猫が座って外を見ていることもあるのだが。
「うーん。うちの猫ちゃんは可愛いねー。よしよしよし」
一緒に歩いていた連れあいが網戸を通して白い物に話しかけている。
あの、それ、うちの飼い猫ではなくて、蚊遣り豚なのだけど。
「えええええっ!(よくよく見直して)本当だ!騙したな!」
いや。騙そうとしたとかではなくて。
うん。夏だなあ。
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