内緒の、ここだけの話。
連れ合いの部屋には今もアレが置いてある。年末に義母が厚意で置いてくれたのだ。当然部屋の主がかたづけるべきなのだが今もって置かれたときと同じところにある。
「アレ」とは、鏡餅だ。それもコンビニなどで売っているプラスチックに包まれたものではなく、生のままの鏡餅だ。
いや、おっしゃりたいことはわかる。さっさと処分しろと。そろそろカビも生えておろうと。しかしながら不思議なことに餅はいまだにきれいなままである。他の部屋に置いた餅が松の内の終わりを待たずにかびてしまったことを思えば、すばらしい保存力。
さらに奇跡というか、まずいことにというか、鏡餅の上にはみかんが乗っている。無論生である。これも無事である。連れ合いの部屋にはピラミッドパワーでも働いているのか。
いやいや、おっしゃりたいことはよくわかる。どうにかしろと。もう時期をはずれて久しいではないかと。
それが問題なのだ。もう時期をはずしてしまった。もう鏡餅をかたづけるような季節ではない。なんとなくそのままになる。
そのままになって、今に至る。
もういっそ今年の末まで置いておいて、新しい鏡餅と交代させればとも考えるが、もうすぐ夏が来る。生ものは無事では済むまい。その前に何とかせねばと思うが触る気になれない。
縁起物のはずの鏡餅は今や黒いオーラを放っているかのよう。オーラは片付けろ何とかしろと訴える。それから目をそらすわたしたち。
内緒の話である。誰にも言わないでいただきたい。
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