うららかな秋の林である。
右耳には自分が落ち葉を掃く音が聞こえている。ざっ、ざっ、ざっと一定の調子で。
左耳にいれたイヤホンでは賑やかな音楽が鳴っている。ずん、ずん、ずんと刻まれるリズム。
いよいよサビに入り、ますます盛り上がる音楽。
それに合わせて動かすほうき。軽く腰を振って踊ってみたりする。ほうきと共に落ち葉もダンス。ざざっ、ざざっ、ざざっ。
聴くものを鼓舞する歌詞。繊細ながら力強いキーボード。金管楽器が重なって押し寄せる音楽の波。ここで跳ねるようなギターソロ。
ギターならば負けられない。ほうきをかまえてイヤホンの中のギタリストと競演する。ほうきギターをかきならし、世界はステージ、自分は奏者。ソロパートが終わったらピック代わりの栗の実を客席(雑木林)へ投げる。興奮して取り合いをするファンが目にうつるようだ。
実際に目にうつったのは、遠くの畑にいる義母だった。
……うわあ。落ち葉掃除中の一人ライブ、目撃されたかな。
他のパートはともかく、ほうきギターのところは言い訳できない。恥ずかしい。
何が恥ずかしいって、よく考えたらさっきのほうきギター、持ち方が左右逆だった。ギタリストなんて客席側からしか見たことがないから間違えてしまった。恥ずかしいなあ、もう。
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