予約無しで美容院に行った。「1時間ほどお待ちいただくことになると思いますが」。
1時間か。予約無しでその程度ですむならと待たせてもらうことにする。
1時間半経った。持っていった文庫本も読み終わってしまった。備え付けの雑誌でも読もう。
まあ予約してないのだから仕方がない。
さらに1時間経過する。手に届くところにある雑誌で興味のある記事は一通り目を通した。お腹がすいたがまだ呼ばれる気配がない。
まあのんびり待とう。
ようやく施術に入ったものの、美容師さんが度々ほかのお客様のところに行ってしまいなかなか進まない。
まあ4人ほどのお客様を2人でさばいているのだから贅沢を言うべきではないだろう。
結局美容院を出たのは入店から4時間後だった。どの店もランチ営業は終わっており、食事をできそうな場所が無い。
まあわざと長く待たされたわけでもないし、飛び込みで行った自分が迂闊だったのだ。
予定より帰りが遅くなりそうなので義母に連絡する。電話で要件を伝えた後、義母が不審そうに尋ねてきた。
「どうして公衆電話からなの?」
はあ。携帯電話を家に忘れまして。
「ふふふっ」
……笑われた。
美容室であんなに時間をとらなければ、今日自分が携帯電話を忘れたことは誰にも知られずに済んだのに。
おのれ美容室め!
以上、心おだやかに許し続けた一日が、最後の最後で駄目になったお話。
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