隣家の居間の窓からは、我が家の前庭が見渡せるそうだ。
つまり庭で良い行いをすれば見ていてくれるかもしれぬということか。他人に見せるために良いことをするのはあまりにあざといが、自分が害のない隣人であることをアピールしておくのは大切だ。
しかし自宅の庭先でできる英雄的行為が思いつかない。襲ってきた怪人たちを素手でなぎ倒すくらいしか浮かばないが、怪人が襲ってくるような土地柄ではないし、襲われたら考えるより先に逃げ出す自信がある。あまり格好よくない。むしろ見られたくない姿だ。
そんなどうでもいいことを検討しながら庭を歩いていたら。
物干し竿に額がクリーンヒット。飛ぶ竿。頭を押さえる自分。散らばる洗濯物。
見回せば、おりしも玄関から出てくる隣家の人。
駄目な人だとは知られたかもしれないが、駄目すぎてかえって危険はなさそうだと判断してくださったことを祈る。
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