広い駐車場の一角に、小さな小屋が建っている。宝くじ売り場だ。
その横を交通量の多い車道が走っている。
売り場の正面は車道と逆を向いていて、道路側は壁。その壁に、車に乗っていても見えるように、でかでかと何か書いてある。
「大事なお知らせです。」
宝くじ売り場のお知らせならば、新しいくじを販売開始したとか、そういうことであろうか、と読んだ人は予想する。
「人が飛び出します。」
小屋の陰から、車道に突然人が飛び出すことがあると。気をつけてくださいと。壁の文字は自社の宣伝ではなく、安全への配慮だった。意外だ。文章表現が「わざと飛び出すように仕込んである」ように読めるのは、この際目をつぶろう。
文章は、少し間をあけてさらに続く。
「ここはよく当たります。」
ここに来て宣伝だ。ここはよく当選くじが出ます。まず交通安全を促してから広告にうつるとは奥ゆかしい。
しかし。
「人が飛び出します。ここはよく当たります。」とは。
当たるのは本当に宝くじなのか問いたくなる。「当たる」には「当選」のほか、動いてきたものがぶつかる意味もあるのだ。
ドライバーの皆様、ここはよく当たるそうなので、運転には十分ご注意を。
宝くじはわたしが買いましたので、くじのほうの当たりは引き受けます。
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