草刈機を振り回したり18kgある米袋を運んだりする仕事が多いためか、どうも力持ちキャラクター扱いされている気がする。総身に知恵がまわりかね、くらいに思われているのではなかろうか。
実際の自分は知識と知性とインテリジェンスの塊であるのに残念である。どれくらい賢いかというと、頻繁に「アマモリさんは頭がいい」とほめられるほどである。正確な頻度でいうと、これまでの生涯で三回は言われている。つまり地球46億年の歴史のなかで、……(計算中)……ええと、かなり多く「賢い」と評価されているのだから、自分の頭脳が明晰であることは疑う余地がない。
それはさておき、昨日の話である。
きっちり閉まって動かない側溝のふたを、どうしても開けなければならない事情ができた。
ふたの周囲を削ってすきまを作ろうと、義母は楔と木槌を持ち出してくる。
ここは自分の頭のいいところを示すチャンスではなかろうか。木槌を振り上げる義母を制止し、太く丈夫な鉄の棒を準備した。
ふたには手をかけるための穴が開いている。そこに鉄の棒を通す。棒の片端はふたの裏側に接している。これが作用点。
ふたの外側、穴の角に棒は途中で触れている。これが支点。
そして、外に飛び出ている棒のもう片方の端に下方向に力を加える。これが力点。
すなわち。
がたり、と重い音をたててふたがはずれる。何年ぶりかで開放される排水の道。
義母は喜び、心から感心したように言った。
「さすがアマモリさん。すごい力ね!力持ちだわあ!」
いやいや、これ「てこの原理」です、お義母さん。力技ではなくて頭脳のなせる技ですから!
あふれる知性をアピールしようとしたら、かえって怪力キャラクター認定を深めてしまったわけだが、どうしたらいいだろう。
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