テレビで何かの記者会見を流していた。話しているのはかっちりしたスーツの紳士で、胸のあたりに字幕で話の要約が出ている。
その字幕がどうもおかしい。傍点がうたれているのだが、その位置が変だ。ただの格助詞や単語の途中一文字だけについている。そして字幕は固定されたままで、傍点だけがふらふらとゆれる。
よく見ると傍点はいつも同じ位置にある。テレビの液晶にごみでもついているのだろうか。しかし傍点らしきものが動いている説明がつかぬ。この季節に虫でもあるまいに。
さらに観察する。そして理解する。
傍点だと勘違いしたもの。液晶のごみだと考えたもの。それは、テレビ画面に映っている背広の紳士の襟についている、ぴかぴかとした社章であった。
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