民家も街灯もない自宅の周りは、夜はまさしく帳がおりたような闇である。
月があれば電線の影が落ちるほどに明るいが、そうでなければ何も見えない。ちなみに雲があると雲の白さが光を反射するらしく、多少はましになる。雪は言わずもがな。
ともあれ、今の季節の月の昇らぬ時間はたいそう暗いのだ。
そんな光の届かぬ中、物置小屋に用事があって外にでた。手には懐中電灯。きりりと夜を貫く明かりを頼りに目的の場所まで行く。それにしても暗い。
ふと、好奇心で懐中電灯のスイッチを切ってみる。
ぱちり、という音とともに闇が重量を増す。なにも見えない。なあんにも見えない。
恐れ交じりの感嘆に満足して、再び電灯のスイッチを押す。
ぱちり。
ぱちり。
ぱちり。
何度押しても、目の前は真っ暗。なにも見えない。なあんにも見えない。なあんにも。
どうしたのか。なぜ明かりはつかない。電灯の電池が切れたのか。
ぱちりぱちりぱちりぱちり。
ぱちりぱちりぱちりぱちり。
何度か試して、気がついた。
自分、いつのまにか、目、閉じてた。
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