本日の日記には暴力シーンやグロテスクな描写が含まれています。
自分に接しているのに見えないものは何となく不気味だ。自分の後姿はひどくよそよそしいし、内臓は得体がしれない。つむじなどは未知の世界。鏡や写真にうつった顔があちこち未整理に感じるのも普段は自分からは見えないからだ。きっとそうだ。他に何かおかしく感じる要素があろうか。いや、ない。
とにかく、自分に接しているのに見えないものは何となく怖い。そう、例えば、立っているときの足の裏とか。
踏みつけて痛いのは硬いもの。恐ろしいのは柔らかいもの。家の中には時々、その柔らかいものが落ちている。猫の持ってきた小動物とか、猫のアレとかアレとか。それらのいずれも素足で踏んだことのあるベテラン踏み師であるところの自分だが、踏むことに慣れることはない。できれば二度と遭遇したくないと願っている。
窓がなく常に暗い仏間は、その柔らかい占有離脱物がよく落ちている場所である。そこを今から掃除する。
電灯のスイッチは部屋の真ん中に下がっている紐のみ。そこまでは明り無しで行かねばならぬ。ほんの二歩ほどだが、なかなかスリリングだ。できればスリッパを履いたままいきたい。しかしできない相談である。
するりとスリッパを脱いで、淀んだ暗さに足を踏み入れる。一歩。
ふと、何か気配を感じほとんど無意識に後ずさった、その足が。
ふにゃり、と。
柔らかいものを、踏む。
うわああああああああああああああ!
……。
さきほど脱いだスリッパだった。
あと、感じた気配は別になんでもない気のせいだった。悲鳴のあげ損。
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