あなたが落としたのは金の斧ですか。それとも銀の斧ですか。
と。女神が出てくるとは木こりは思っていなかっただろう。
ならば、商売道具を池に落としてしまった彼はいかなる心持だったか。
底の見えない水面を呆然と見つめて、術もなく。たつきの道も断たれたように感じられ。
それに比べたら、なんでもない。
落としてしまった味見用の小皿を探して、大鍋いっぱいのシチューをかき混ぜながら、メルヘンの世界に逃避する。そんな夕方。
願わくば、この鍋から金銀二枚の皿を持った女神が出てきませんように。生き物が生きたまま入っていたおかずを、家族に供するわけにはいかないので。
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