裏づけのないまったくの個人的なイメージだが、「room」「部屋」といった店名は雑貨屋さんぽい。インテリア小物や家具などを扱っていそうだ。
しかしその店は、酒屋だった。ワインセラーの似合いそうな酒屋ではなく、たばこやお菓子もおいてありそうな地域密着型の店。酒屋さんと近所ではよばれていることだろう。
そんな店構えで屋号に「部屋」がつくのは珍しい。
読み方もわからない。これは店の方角にひっかけたのか、オーナーの苗字なのか。
「かどべや」という言葉はあるが「みなみべや」というだろうか。「南向きの部屋」ならばしっくりくるが。少しひねって「みなみの部屋」と読ませるのかもしれぬ。「みなみのべや」と濁らせると相撲部屋のようで違う気がする。
いろいろと推測しているうちに、その酒屋は視界の外に消えた。
東北地方の印象そのままの、緑の水田が広がる風景。風をおこしてゆれる稲。
そこで、唐突に気づくのだ。
ここはかつて南部藩と呼ばれた場所。
つまり先ほどの酒屋は「南部屋(なんぶや)」だ、と。
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