「
三方一両損ってあるよね」
ああ、あるね。元ネタは他にあるようだけど、大岡裁きとして有名だね。
「三方一両損があるのなら、三方一両得もできると思うんだ。考えてみる」
それは難しそうな。
「まず、3両入った財布を拾いました。拾った人が落とし主に届けます」
損バージョンと冒頭は一緒なのか。
「落とし主は言います。『おお、届けてくれたあんたは、なんて正直なひとなんだ。お礼に3両もらおう』」
落とし主が拾い主からさらにお金をもらおうとしている!
「それを聞いた大岡様が『ようし、私も1両もらおう』と」
大岡様、それはタカリだ!
さすがに少しおかしいと気づいたようで仕切りなおし。
「まず、3両の
質札を拾いました」
いやな予感がする。
「拾った人は落とし主に届けます。落とし主は言います。『おお、届けてくれたあんたは、なんて親切なひとなんだ。お礼にその3両の質札をさしあげましょう』」
拾い主が借金を肩代わりさせられているぞ。
「当然拾い主は断ります。お互いに質札をおしつけあう二人。埒があかなくて、奉行所に訴えでました」
普通に考えれば、埒があかない要素がないのだが。落とし主はどんなごね方をしたのだ。
「話を聞いた大岡越前は言います。『ようし、私が新たに1両借りよう』」
大岡越前守タカリ、再び。
「借りたお金は合計4両になりました」
当然だが、借金額が増えている。1.3倍くらいに増えている。
「それを落とし主と拾い主でわけます。落とし主は3両の借金が2両の債務になり、拾い主は3両の借金を背負わせられるところが2両ですみ、大岡様は1両手にいれたので、三方一両得!できた!」
いやいやいや!拾い主だけが一方的に損をしているから!特に大岡の便乗がひどすぎる。
このすばらしい思い付きをわたしの日記に掲載することを許可すると連れあいが言った。いかにも書いてほしそうな、ぜひ書けという顔で。
それほどまでに自信があるのなら、記録しておくのが配偶者の務めであろうとここに記すものである。
わざと落とした財布に借用書を入れておいて、拾い主に負担させようとする詐欺が流行らないことを、強く強く祈りつつ。
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