当村の指定ごみ袋は、居住の地区名と氏名を書くことと定められている。最初のうちは抵抗があったが、氏名という近所にはおなじみのささやかな個人情報と引き換えに、ごみを回収してもらえるのなら安いものだと納得しつつある。
ごみ袋に油性ペンで名前を書く。中身をいれてからだと難しいので、新品のごみ袋を広げて書く。ごみ袋は少々滑るが楷書体で丁寧に描かねばならないもので もない。読めればいいのだ。読めなくてもいいかもしれない。所詮ごみ袋されどごみ袋。わたしのごみ袋はいい袋。人生には三つのごみ袋があります。あるか な。どうかな。
あ。
ごみ袋ゴミ袋と考えていたら、氏名の欄に「ごみぶ」と書いてしまった。思考と手の見事なる連携。「くろ」まで書く前に我にかえったのはいいことだ。
これくらいでごみ袋をゴミにするのは忍びない。ペンで念入りに塗りつぶして再利用した。
自分の名前を盛大に書き間違える人と思われるのと、真実を知られるのとどちらが恥ずかしいかを天秤にかけながら。
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