「着て歩くだけで引き締まる」というふれこみの下着をネットで見つけた。怠け者で目方が豊かだけど、一応毎日犬の散歩に出る習慣のわたしにぴったりではないか。いそいそと商品情報を読む。
わたしの腹回りに適合するサイズはないことがわかった。
このサイズが入るなら、ダイエットなんていらないのではないか。過剰に太い人はお断りか。面倒見切れないのか。ここまで上がってこい!と手を差し伸べて いるつもりか。好みの紳士や理想の猫が手をのばしているのなら、壁に歯を突き立ててでも這い上がってみせるが、相手が下着では。大体歯を使って岩場をの ぼってくるおばさんって、どこの都市伝説だ。紳士も猫も逃げるわ。取り残されて涙をながしながら落ちていくわたしが見えるようだ。そもそも誰がロッククラ イミングの話をしているよ。下着の話だ。サイズがないのだ。
恨みがましく思考をめぐらせていると、ちろりろりろと音楽がなり、電子レンジが解凍終了を告げた。
レンジを開ける。何も入っていない。
いかなる過程を経たか知らぬが、解凍にかけていたつもりの豚肉は冷凍庫に戻っていた。
なんだ。豚肉までわたしを馬鹿にして。望まれて肥える動物はいいよね。
体重のことで食材にまで嫉妬するというのは、ちょっとまずいのではないかと思う。人間の尊厳的に。
反省して、ウエストのサイズなんて気にせず、おおらかに生きることにした。豚肉のみぞれ煮美味い。かぼちゃのグラタンも美味い。痩せたいと思いながらつくると、カロリーの高い料理がおいしくできるという法則を発見。
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