寝ている連れあいのまわりを片付けて部屋を出ようとすると、布団の中から呼び止められた。
「駄目」
なにが駄目なのか。
「捨てちゃ駄目」
確かに今わたしの手には連れあいの所有物がある。しかし。
これ、捨てたらいけないの?
「駄目。売るから」
個人で一個だけ売るのは無理だと思うよ。
「……それ何?」
マンゴージュースの空き缶。
「……捨てていいよ」
どうして何かも確認せずに捨てるなと言ったのか。売ったらいくらくらいになる算段だったのか。
それ以上に疑問なのは、しっかり目を閉じて寝ているのに、なぜわたしが何かを部屋から持ち出そうとしたことに気づいたのかということだが。
連れあいの寝言には、脳の神秘が満ち満ちている。
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