鍵盤ハーモニカの箱やパステルカラーの巾着を持った小学生たちが、大勢歩道を歩いていた。
夏休みが始まるのだ。
怠惰で鮮やかで騒がしく光あふれるその言葉。
かたり、と音をたてて記憶の箱が開く。
折り紙で工作をしていた。何を作っていたかは覚えていない。色とりどりの四角を、折ったり切ったり貼ったりする楽しさばかり。
やがて小さな造形物が完成し、机の上には何色もの紙片が残る。
手でそれらを一箇所に集める。七色十色の紙ふぶき。ともすればそれは、出来上がった工作よりもきれいだった。
顔を近づけて、小さな紙の集まりに見入るわたし。
そのわたしの鼻に、ちょこんと、いたずらな妖精がとまった、のだと思う。
何の前触れもなくでる、大きな大きなくしゃみ。
机に、机の下に、思いもかけないところに、飛び散る何十もの紙片。
どうしようもなく情けない気持ちで、掃除機をかけた。
あれ?20年以上も前の話なのに、今と少しも変わっていない。おかしい。小さい頃はしっかり者だったはずなのだが。いやいや、今だって割と意外と思いのほかちゃんとした人ですよ、わたしは。
そんな回想をしつつ、くしゃみのはずみでこぼした猫の餌を片付けた。
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