目覚まし時計が鳴ったあと、あとほんの少しだけ寝られるように、枕もとにキッチンタイマーを置いている。寝過ごしがちな「あと5分だけ・・・・・・」を正確に教えてくれるので便利だ。
タイマーは、時間をセットして「スタート」ボタンを押すとカウントダウンが始まり、残り時間がなくなったところでアラームが鳴る。アラームを止めるには「ストップ」ボタンを押す。
この「ストップ」ボタンを押すのが得意だ。布団に寝ながらタイマーのほうを見ずに手を伸ばしているにも関わらず、本体さえつかめばアラームを止めるのはすぐである。
百発百中。俺は「ストップ」ボタンスナイパー。アラーム音を確実に消すヒットマンだ。
と思っていたのだが。
どうやらこのタイマー、アラームを止めるために押すボタンはどれでもいいらしい。「ストップ」ばかりでなく「スタート」や時間をあわせるための数字ボタンのどれを押しても音は鳴り止むようだ。
つまり毎朝、なんて「ストップ」を探し当てるのが上手な人でしょう、と自分を賞賛していたわたしの指は、数字や「スタート」を適当に押していた可能性がある。可能性があるというか、ほぼ確実というか。
そうだよなあ。複数のボタンの中から手探りで目的のボタンをさがすなんて、わたしにできるわけないよなあ。何がスナイパーだ、何がヒットマンだ。全面当たりの大きな的を撃っていただけではないか。恥ずかしい。
数少ない特技が、またひとつなくなった。
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