もちろん寒いとか風が冷たいとか飼い主が暖房器具から離れたくないとか、そんなことは犬には関係がない。
関係がないとは言わないが、おかまいなしだ。
となれば散歩の時間にはいつもどおり連れて出かけねばならぬ。
風は冷たいというよりは痛かった。
視界は暗いというより白く濁っていた。
真冬日などおかまいなしだったはずの犬も、帰ってから一生懸命足の裏を温めようとしていた。
さあ、わたしも愛しきストーブの元へ。
玄関が、開かないのだ。
締め出された。
中にいる義母が来客を嫌って鍵をかけたのか。
あるいはついに連れあいに愛想をつかされたのか。
どうにも家に入れてもらえない心当たりが多すぎる。ごめんママン、僕これからはもっといい子になるよ。がたがたと玄関を開けようと戸を揺する。そんなことで錠がかかっているドアが開くわけもなく。
開くわけも、なかったが。
開いた。
火事場のなんとやら。鍵のかかったドアもこのとおりこじ開けた。
鍵の修理費を心配しつつ玄関の戸を見る。鍵は下りていない。こわれてもいない。
ただ引き戸の敷居が薄く濡れている。
散歩に出ていた30分の間に、玄関のドアが凍っていただけだった。
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