夕食の時間まであとすこし。台所は戦場だ。
オリーブオイルが気温の低さのために固まってしまっている。
茶の間のストーブの前に放置。
こちらは冷え冷えとした台所で仕事をしているというのに、食材はぬくぬくとストーブの前。
10分のロス。
副菜が足りないことに気づく。
正月の残りのかまぼこを炒めることにする。
かまぼこの包装を切ると、プラスチックの巻簾(まきす)で出来た筒。
「わらの取りかた
何度か手でひねった後、一本ずつはがしてください。」
かまぼこの表面をびっしり保護している藁を一本ずつ取れと言う。
時間が惜しい。一気に3、4本持って引き剥がしたら、かまぼこ本体までわらに付着してきた。
あきらめて1本ずつ取っていく。溺れるものは藁をもはがす。
5分のロス。
味見用の小皿を取り出す。
手がすべった。
今まで散々落としても割れなかった皿が真っ二つに。
「俺のことは構わず先に行け……!」と皿に言われたが、放っておいたらこちらの身が危ないので片付ける。
10分のロス。
かなり時間を食ってしまったが、あとは最後の仕上げだけだ。
料理の上に香りづけのごま油をたらす。
たらす。
たら
出てこない。
寒さで白く固まった、ごま油。
お前もか。
5分のロス。
結局この日の夕食は、予定より30分遅くなった。
次々襲い来る(己が由来の)困難を克服しつつ、家族(の空腹)を救うために戦う(自分の手際の悪さと)。
括弧内を除けば、結構格好いいことをしていると思うのだが、いまいち自分の評価が低いのは何故だ。
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