出先で手を洗い、備え付けのペーパータオルで水気を拭いた。
ほんのりと紅く染まるタオル。
血だ。また怪我か。痛いところにはひととおり絆創膏を貼っているのに、また怪我か。これ以上貼ったら、手が絆創膏に埋まってしまうではないか。そもそも 知らないうちに傷をつくるとは、どれだけ鈍いのか。切ったりすったりした瞬間は痛くないこともあるが、血がにじむくらいなら普通気づく。負傷をするような 危ないことをしたという自覚もあってしかるべきだ。しかし今日はまだ怪我をするようなことをした記憶がない。外出先で手に傷をこしらえるような用事があっ ただろうか。待て。もしやこれはかまいたちの仕業。知らないうちに切っていく妖怪だ。ならば人の身で気づかぬも道理。ではそのかまいたちの傷はどこだ。血 がにじんでいるところはどこだ。
両の手をためつすがめつ確かめる。新しい傷などない。
しかしペーパータオルは現に。
よく見ると、ペーパータオルはもともと、薄い桃色で着色されていた。
~あまもりそこつどうあやかしきたん かまいたちのまき 了~
参考リンク
なぜ水に濡れると色が濃くなるの? PR