連れあい寝言メモ。
夜にお手洗いから戻ると、寝ていた連れあいがかなり真面目な声で言った。
「ごめん。俺が悪かった」
室温が氷点下になるにも関わらずわたしの掛け布団を横取りしたり、室温が氷点下になるにも関わらずわたしを敷布団からおいだしたり、室温が氷点下になる には関わりがないがわたしの腹や腰を足枕がわりにしたり。悪逆非道を極めた彼の寝相に対しては一度腹をわって話さねばならぬと思っていた。眠っていてこん なにも悪事のかぎりを尽くすということは、人間の本質とはすなわち悪なのであろうかと哲学的な問いを抱いたほどである。
しかし、本人が真摯に詫びてきた以上、これは気持ちよく許すべきであろう。うん、と短く答えて布団に戻る。すると連れあいは、ひどく意外そうな様子で
「あれ?アマモリ、そこにいたの?」
お手洗いには立ったが、それだけでずっとここで寝ていた旨を話す。
「今、外で奇声をあげながら走り回っていたのはお前じゃなかったの?」
あなたは夢の中でわたしにどんな酷い仕打ちを。やはり人の本質は悪と闘争にあるのであろうか。性悪説を提唱したのは誰であったか、思い出そうとしているうちにわたしも眠る。朝起きたら毛布がはぎとられていた。
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