ドライブの途中見つけたわき道を示す案内板。その先が「幻の滝」だと書いてある。
このあたりに滝があるとは知らなかった。しかも幻。ちょっと見ていこうと車の進路を変える。
舗装された道はやがて砂利道に。がたがたと車が揺れる。
背の高い草が茂る野原を抜けると、さらに間道に入るように案内があった。
砂利道はやがてでこぼこ道に。がたんがたんと我々も撥ねる。
杉林を抜けると、滝はここから徒歩20分と看板があった。車を降りて歩く。
でこぼこ道はやがて山道に。とぼとぼと我らは行く。
いい加減登ったところで、斜め下を向いた矢印がある。足元に気をつけて下りる。
山道はやがて急な坂道に。ぼとぼとと踏み外した足をくずれた土が追いこしていく。
かくて、滝はそこに姿を現した。
高低差もそれなりにあり、水量も豊富。
そして誰もいない。
「幻」といわれるわけが来てみて分かった。
車もまばらな山奥のそのわき道のさらに間道の奥。
気楽にいけそうに案内しながら、その実やたらに険しい道。
それは、誰も、来ないよ。
ちなみにこのときの装備は、わたしはトートバッグに革靴。連れはデニムにサンダル。道々「遭難」「ビバーク」という言葉が浮かんで仕方がなかった。無論携帯電話など通じない。
滝は山奥にあるもの。気軽に立ち寄るような場所ではない。大体滝を見るはずなのに道が上り坂の時点でおかしいことに気づくべき、と一つ賢くなった。
かの滝の名は「知恵の滝」。その名のとおり知恵を授けてくれる。
知恵を得た我らは、もう一生ここには来ないと誓い合ったのだった。
ああ、つらかった。
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